この度、第37回日本眼腫瘍学会を開催させていただくことになりました。今回は新しい元号である令和が始まった最初の会となります。このような機会をいただき、理事の諸先生方、学会員ならびに関係各位の皆様には厚く御礼を申し上げます。
眼腫瘍学会は眼科領域における腫瘍を取り扱う領域ですが、悪性腫瘍の治療に際しては生命予後が最優先となり、視機能はどうしても軽んじられます。しかし、眼腫瘍の診療に従事する我々眼科医は生命予後を尊重しつつも、視機能温存を目指したいという気持ちを常に持ち続けています。このジレンマに我々眼腫瘍医は悩まされ、生命と視機能の両面を守るべく、日々診療を続けております。この基本的理念のもと、今回は原点である『視機能温存に向けて』を学会テーマとして掲げました。
特別講演は東京慈恵会医科大学放射線治療部 教授 青木 学先生をお招きし、「最新の高精度放射線治療の現状と役割」についてお話しを賜ります。青木先生には本学において視神経鞘髄膜腫に対するIMRTを多数例施行して頂いております。シンポジウムでは「視神経腫瘍」を取り上げました。視神経腫瘍は診断に苦慮することが多く、悪性腫瘍の頻度は少ないものの頭蓋内進展による生命予後にも関係し、視機能への影響が顕著な腫瘍となります。また、眼腫瘍を専門とされない一般眼科医や若い先生を対象に、「眼部悪性腫瘍を見逃すな!」というタイトルで教育セミナーも開催いたします。
昨年からは、日本眼腫瘍学会が中心となって、眼腫瘍の全国登録制度が開始され、さらに、希少がんである眼腫瘍の専門施設の情報公開がなされ、眼腫瘍の社会的貢献度がますます増しております。本会ではこれらの報告も予定しております。
学会当日はラグビーワールドカップが日本で開催されていますが、学会会場ではスタジアム以上に熱い討論をお願いします。そして、講演後はノーサイドでいきましょう。